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1. 講演会「哲学対話ってなに?」を開きました!(探究『SDGs×哲学対話』vol.7)

投稿日時: 2021/12/10 令和3年度入学生

 12月10日(金)、今年度の探究『SDGs×哲学対話』の2本柱の一つ、哲学対話についてのオリエンテーションを兼ねた講演会「哲学対話ってなに?」を開催しました。講師は、東京大学大学院教育学研究科の堀越耀介先生です。堀越先生は、東京大学の博士課程に籍を置きながら、共生のための国際哲学研究センターのリサーチ・アシスタント、また、クロス・フィロソフィーズ株式会社のアソシエイト・フェローなどの研究職にも就かれています。

 ところで、アンケート結果を見ますと、そもそも「哲学対話」という言葉を聞いたことがある生徒が、全体の約1割。その意味まで知っているという生徒は、ほぼ皆無に等しい状況でした。よって、第1部は「哲学対話となんぞや?」という講演から始まりました。

 生徒たちも、1「わからなくていい」、2「信念を持たなくていい」、3「話さなくてもいい」、4「答えがなくていい」との、哲学対話の4原則を聞いて安心したようです。とにかく、「どんなことでも自由に言っていい」「気を遣わなくていい、過激でいい」「信念や一貫した立場は必要ない」「分かった気になるよりモヤモヤのままでいい」「他人から借りた言葉でなく自分の経験から話せばいい」と、人を傷つけない限りにおいては、哲学対話はすべて自由が基本です。そして、哲学対話で一番大事なのは、問いを出し、問いを通じて考えを深めていくことです。しかし、この「問い」が最も難しいのです。

 ということで、第2部は、各グループごと車座になっての「哲学対話の実践」です。最初の「問い」は、全グループ共通で『他人に迷惑をかけなければ何をしてもいいのか?』。

 ちょっと、慣れてきたようです。では、続いての「問い」は、SDGsのゴールごとグループ別の「問い」です。

1「貧しいって、そもそもどういうこと?」、2「地球の裏側に住む人たちに対する義務はどこまであるの?」、3「健康であるって、そもそもどういうこと?」、4「良い教育ってなに?」、5「男女の役割を区別すことって必要?」、7・13「人間は自然をどこまで変えていい?」、8「働きがいってなに?」、10「人が平等であるって、そもそもどういうこと?」、11「良い町ってなに?」、14・15「自然が豊かであるって、そもそもどういうこと?」、16「正義ってなに?」

 笑い声が聞こえたり、一方、沈黙がしばらく続くシーンもありましたが、この時間が有意義だったことが、生徒たちの感想から分かります。

 「哲学対話と聞いて、最初は難しいものと思いましたが、分からなくてもいい、答えが出なくてもいい、と聞いて安心して取り組むことができ、自分の考えもすごく広がりました。」「私はいつも『一番良い答えを出さなくては』『みんなと似た意見にしないと』と焦ってばかりいましたが、今回、分からなくてもいい、答えが出なくてもいい、と聞いて本当に気持ちが楽になりました。哲学って、こんなに身近で楽しいものなんだと感じました。これから沢山の『問い』を持って生きていきたいです」「問いに問いが次々と出てきて、頭の中の整理が大変だった。けれど、それを発表するのも、他の人の意見を聞くのも楽しかった」「自分の知らない知識や考え方が出てきてすごいなあと感じました。一つのテーマについて考えていくうちに、問いが沢山でてきて考えるのが段々難しくなっていきました。」「沈黙が続いたこともありましたが、一人一人が自由に発言することができたのが良かったと思いました。哲学対話の楽しさを知ることができました。」「普段はあまり考えないことについて考える良い機会でした。途中で分からなくなってしまうこともありましたが、『問い』について深く考えることができました。」「先生のお話を聞いて、この世に哲学はあふれていて、とても身近なものだと感じることができました。日常生活のなかで『問い』を深め、分からないことを発見して、それについて深く考えてみたいと、哲学に興味がわきました。」「今回のこのような対話を今後の探究活動に活かしてより良い答えが導き出せるようにしたいです」