地域域課題探究『浜通りへ行こう!2024』
2024年12月11日 07時57分 [進路]郡山東高校では、令和3年度より、福島県の「震災と復興を未来へつむぐ高校生語り部事業」を『浜通りへ行 こう!』と称し、地域課題探究の場を設定してきました。第4回目となる今年度は、請戸小や伝承館において原 発事故の実相を十分に理解した上で、車窓や廃炉資料館での見学を通して、「進まない復興」の実態と、語り部 講話や対話集会を通して、帰還後の「新たな地域づくり」に取り組んでいる方々のお話を拝聴し、復興の「光」と 「影」について考えるという趣旨でプログラムを企画し、令和6年 11 月 23 日(土)に実施しました。総合的な探究 の時間のテーマへの関連や沿岸部の被災地への思いを強く持った 1 年生 9 名、2 年生 12 名、計 21 名の生徒 が参加しました。
朝一番は、浪江町の請戸浜です。中通りの生徒たちにとって、やっぱり海は非日常でしょうから、その表情は笑顔で溢れていました。この穏やかな海が、表情を変えて多くの命を飲み込むとは誰も思ってはいなかったと思います。
請戸浜のすぐ奥にあるのが、震災遺構の請戸小学校です。1階部分の姿には、もう言葉もありません。約15mの津波が襲ったと言われています。学校の時計は、津波到達時刻の午後3時37分で止まったままでした。
校内にいた82人の児童は、下記画像の左手奥の大平山に全員無事避難しました。しかし、学校周辺の家々は流され、請戸地区だけでも127人が死亡、27人がいまだ行方不明となったままです。
複合災害の実態と復興の状況を後世に伝えることを目的とした東日本大震災・原子力災害伝承館です。ガイドの方の説明に、硬い表情で熱心に耳を傾けていた姿が印象に残っています。展示に見入って、昼食の時間を削った生徒もいたほどです。
伝承館隣の双葉町産業交流センターで語り部の方のお話をうかがいました。講師の宗像涼さんは、富岡町で被災し、その後、8年間郡山市で避難生活を送っていたそうです。年齢が近い方の講話ということもあって、その等身大の思いがダイレクトに伝わってきた様子でした。また、このセンターの屋上からは、南手に東京電力福島第一原子力発電所が、そして、センターのすぐ脇には中間貯蔵施設が見えます。
「あの日、私たちは」と題された講話後には、2年生の男子生徒から質問も出ていました。
元々は原子力発電をPRする目的で建設された「エネルギー館」が、原子力災害後にいったん休館し「東京電力廃炉資料館」として再開しました。見学時間を十分に確保できなかったため、消化不良に終わったかもしれません。いよいよ次が最後のプログラムです。富岡町から川内村まで移動しました。
最後は、今回のメインプログラムの対話集会「地域づくりへの挑戦」です。講師の井出茂さんは、商工会会長の他、村会議員、第三セクターの社長などたくさんの肩書きをお持ちでで、村内でも地域づくりの中心になっていらっしゃる方です。対話集会という名のごとく、参加した生徒たちからたくさんの質問が投げかけられ、井出さんも生徒たちに向け熱く語って下さいました。本当にありがとうございました。